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1 訓令制定の趣旨

 海上自衛隊の教育訓練は、従来「協同訓練」、「学校等教育」、「部隊実習」および「部隊訓練」のそれぞれについて、別個に定められた4訓令に準拠して実施されてきたため、特に学校等教育と部隊訓練との間で密接な連係を欠きやすいおそれがあつたので、これらを総合的に検討整理したうえに1訓令に統合し、もつて、教育訓練の一貫性を明確にすることとされた。

2 教育訓練に対する基本的な考え方

(1) 教育訓練の本質

教育訓練の目的は、訓令第3条に明示されているとおりであつて、教育訓練こそ、海上自衛隊に与えられた使命達成の基盤をなすものである。

(2) 隊員の教育訓練

ア 海上自衛隊の精強は、これを組成する各級隊員の実力の完備にまつべきものであって、自衛隊の任務遂行に対する強固な信念、卓越した知識および技能ならびに強健な体力は、その必すの要件である。したがつて、隊員の教育訓練にあたつては、あらゆる機会を活用し、健全な国民精神のもとに、隊員として必要な徳操を養い、識見を高め、もつて、海上自衛隊の使命遂行に対する強固な信念を体得させるものとし、その基盤のうえに、部隊等の一員として、職務を遂行するに必要な知識および技能を修得、向上させ、かつ、強健な体力を練成させるものとする。

イ 隊員の教育訓練は、基本教育および個人訓練に区分される。

 基本教育は、主として組織的、系統的教育により、職務遂行の基礎となる能力を与えることを本旨とし、個人訓練は、主として職務の遂行を通じ実地、実物に即した機会教育により、基本教育で与えられた能力を練成し、かつ、開発させることを本旨とするものであつて、両者は互いに相補い教育訓練の目的を達成するものである。したがつて、この両者の間には最も密接な連係をはかり、総合的な計画のもとに、隊員の海上自自衛隊における全経歴を通じ、両者を循環しつつ段階的に逐次高度の目標に向かうよう配慮しなければならない。

(3) 部隊等の訓練

ア 海上自衛隊の使命は、すべて各隊員が部隊等の一員として、組織全体の活動に寄与することにより達成されるものであつて、厳正な規律、強固な団結およびおう盛な士気は、精熟した協同連係能力とともに、部隊等の総合的能力を最大ならしめる要件である。しながつて、部隊等の訓練にあたつては、各級指揮官の卓越した統率のもとに、挙隊一心、任務完遂にまい進する隊風をつちかい、規津を正し、部隊行動に習熟させ、もつて部隊等の総合的能力の充実と高揚をはかるものとする。

イ 部隊等の訓練にあたつては、各級指揮官の部隊運用能力の練成と総合術力の発揮を重視するとともに、常時練度をは握して弱点の是正に努め、特に基礎術力についてはあらゆる機会を活用し、反覆してその演練をはかり、もつて使命達成の基盤を確立しなければならない。

(4) 隊員の教育訓練と部隊等の訓練との関係

隊員の教育訓練は、各隊員の海上自衛隊における全経歴を通じ、逐次部隊等におけるより高度の役割りを果たしうるよう配慮されるのに対し、部隊訓練は、ある時点において、それらの隊員に対し、それぞれの役割りを与えて形成される組織体としての訓練である。各隊員の能力の向上なくして、部隊等の総合的能力の向上は望み得ず、部隊訓練はまた、絶好の個人訓練の場でもある。すなわち、隊員の教育訓練と部隊等の訓練は、当面の目標と重点をいずれに置くかによつて区分されるものにすぎない。したがつて、この両者は密接な関連をもつて計画、実施されねばならない。

3 教育訓練にあたり留意すべき事項

(1) 計画

ア 教育訓練は、海上自衛隊の行動時において要求される事項を基礎とし、総合的に教育訓練の効果を発揮するよう綿密周到に計画する。

イ 教育訓練の計画は、まず目標を具体的には握、分析し、各科目の軽重および優先度をきわめ、教育訓練の方法、手段等を比較、検討し、最も効果的にその目的を達成するよう計画する。

(2) 実施

ア 教育訓練は、合理的、かつ、効率的に実施するとともに、必要に応じ、徹底的な反覆演練を加え、もつて、強じんにして底力のある能力の育成、練磨に努める。

イ 部隊等の長は、教育訓練が指揮官の果たすべき最も重要な責務のひとつであることに思いを致し、自ら創意工夫を重ねるとともに、自啓自発・不断の研さんに励む積極的な隊風の確立に努め、その浸透的感化による教育訓練の徹底を期する。

ウ 上級者、特に幹部自衛官は、常に品性を高め、知識、技能の向上をはかり、率先垂範、もつて隊員の自覚を促すとともに、つねに充実した気迫と指導力をもつて、適時、適切な積極的指導を行なう。

エ 隊員は、みずから自己の能力を開発する責任を自覚し、進んで研さんに努め練麿に励む気風を醸成し、上下相たずさえて能力の向上に努める。

(3) 成果の検討

教育訓練成果の検討にあたつては、数値的評価とその分析検討に努めるとともに、総合的判断を加えて、計画および実施の改善に資する。関連文書: 海上自衛隊の教育訓練に関する訓令(昭和42年海上自衛隊訓令第4号)